地震や豪雨など自然災害のリスクが高まる中、「BCP」への注目が高まっています。LPガスは、緊急時でも供給可能なエネルギーであることから、地域コミュニティ活性化、そして新たなビジネスチャンスを生み出す可能性もあります。ここでは、LPガス事業者に求められる実践的なBCPの取組み、自治体との連携や補助金活用のヒントを見ていきましょう。
2025年3月31日
「BCP(Business Continuity Plan)」は、事業継続計画のことで、企業が自然災害や事故、テロ、パンデミックなどの予期せぬ緊急事態に直面した際に、事業を継続または早期に復旧させるための計画を指します。
2005年に内閣府が『事業継続ガイドライン』を公表して以降、大企業を中心にBCP策定の動きが広がりました。東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、そして、昨年の元日に発生した能登半島地震が記憶に新しく、自然災害の頻発化・激甚化が懸念されています。
このような状況下、事業継続計画(BCP)の重要性はますます重要になっているにもかかわらず、その策定率は低水準にとどまっているのが現状です。企業のBCPに対する意識調査によれば、BCP策定済みの企業は約2割。一方で、策定意向を持つ企業は5割に達しているものの、「人材」「予算」「時間」の不足が障壁となっていることが分かっています。
BCP策定自体は、多大な時間と費用を要することなく可能なもの。中小企業庁や都道府県が提供するひな形を活用すれば、2~3時間程度で基本的な計画を策定することができます。BCPの真の目的は単なる書類の作成ではなく、緊急時に確実に機能する実践的なツールとして位置づけることにあるということを理解しておくことが大切です。
BCPのそもそもの目的は「被災しないための対策」であり、自社の事業を支える資源(人材、設備、施設など)を洗い出し、それらを災害から守るための方策を考えることに重点を置くべきと考えられています。策定後は定期的な見直しと改善を継続的に行うことこそが重要。このプロセスを通じて、自社の弱点や課題が見えてくるでしょう。
会社で寝泊まりをしなくてはならない場合、建物・施設が使えなくなった場合のことも想定を
2021年、充てん容器の流出を防止するため、液石法(例示基準)について、一部改正されています
万が一に備え、ガソリン×LPガスのハイブリッド基準を併用できる車両の導入を検討するなども有効
顧客の中に、病院や福祉施設など、供給停止が許されない重要施設はありませんか?
介護事業所は2024年度よりBCP策定が義務化
基幹システムが作動しなくなると、通常どおりの保安業務や請求業務ができなくなるリスクが…
LPガス事業者は、地域に不可欠なライフラインを担う重要な役割を持っています。そのため、LPガス事業者こそが自社のBCP対策に率先して取り組むことが望ましいといえます。BCPは単なる災害対策ではなく、経営戦略としても重要な意味を持ち、選ばれるLPガス事業者となるための鍵となるでしょう。
LPガス事業者は、自社のBCPで得たノウハウを地域貢献と結びつける発想を持つことも、持続可能な事業運営に大切な考え方といえます。
例えば、防災訓練や炊き出し訓練を地域イベントとして実施することは、災害への備えを強化できるだけでなく、地域に根差した企業としての存在感を示すことにもつながるでしょう。地域の安全・安心を支えるLPガス事業者だからこそ、本気でBCPに取り組み、取引先に対して災害時でも事業を継続できる体制を整えていることをアピールすることで、信頼関係の強化につなげることができるはずです。
切迫する大規模地震などを考えれば、地域のライフラインに直結するLPガス事業者は有事には先頭に立つことができる存在であり、BCPの策定は重要な責務の一つといえます。自治体の防災計画や地域の防災活動に積極的に参画し、行政や他の事業者と連携を深めることも重要でしょう。実際に、自治体と連携することで災害対策用バルクやGHP、非常用発電機などを導入・設置している事例は多くあります。こうした設備の導入にあたっては、国や自治体の補助金の有効活用も検討すべき重要な要素です。
全国LPガス協会が発行する、災害インフラ設備の導入事例集
https://www.japanlpg.or.jp/info/data/20240902.pdf
このように、LPガス事業者がBCP対策を強化することで、自社の事業継続だけでなく、地域社会へのエネルギー供給の安定にも貢献することが可能となります。自治体との協力関係を築きながら、補助金も有効活用し、LPガス事業者ならではの視点と取り組みを発揮することが、地域のレジリエンス向上に大きな役割を果たすことにつながるはずです。
2025年度、まもなく情報公開予定
災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(災害バルク補助金)は、大規模災害発生時に電気、都市ガス、水道などのライフラインが寸断された場合でも、医療施設、福祉施設、公的避難所、一時避難所となる施設等の機能を最低3 日間維持するために、LP ガス災害バルクなどの設置費用の一部を補助するものです。
※以下は2024 年度の情報です。ぜひご参考に。2025 年度の最新情報は、こちらを随時チェックしてください。
https://saigaibulk.net (エルピーガス振興センター)
◆ 補助対象となる設置先の施設と補助率
補助対象の施設 | 補助率 |
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①避難困難者が生じる施設 医療施設、福祉施設(老人ホーム)等 | 1/2以内 |
②公的避難所 自治体庁舎、公立学校、公民館、体育館等 | 1/2以内 |
③一時避難所 商業施設、宿泊施設、事務所、工場等 | 1/2以内 |
◆ 補助対象設備
◆ 補助対象経費:LPガス災害バルク等の機器購入費と設置工事費
◆ 公募期間:2024年5月28日~6月17日 24時まで(2024年度情報です)