保安だより
昨今のキャンプやアウトドアブームに伴い、カセットボンベに直接取り付けるタイプの携帯用液化石油ガス用バーナー(以下「ガストーチ」)の販売量が増加傾向にあり、それに伴いガストーチによる火災や火傷の事故が多発しています。 このような状況から、2025(令和7)年2月6日より、一般消費者の使用を想定したガストーチの販売が規制されることになりました。今回はこの規制の内容について解説します。
2025年2月14日
近年、製品の使用による火災事故が多数発生しています。消費生活製品安全法に基づく重大製品事故件数・非重大製品事故の合計件数は2020(令和2)年以降は20件以上で推移しており、増加傾向にあります。
出典:独立行政法人製品評価技術基礎機構(NITE)
※2023年度末時点の調査結果に基づくものであり、調査の進展を受けて件数に変更が生じる可能性があります。
出典:独立行政法人製品評価技術基礎機構(NITE)
※2023年度末時点の調査結果に基づくものであり、調査の進展を受けて件数に変更が生じる可能性があります。
また、事故概要からは、接続部分に使用されるOリングの不具合・製造不良や、傾けて使用したことによる液体燃料の漏えい・引火に伴う事故が多数発生していることがわかります。
発生年月 | 事故概要 | 事故の詳細 |
---|---|---|
2019年4月 | 当該製品を点火した際に火口から大きな炎が発生し、周辺の可燃物を焼損した。 | 事故品は、立てた状態で点火する仕様であったが、使用者は傾けて点火した。当該製品に専用ボンベを正しく接続し、立てた状態で点火したところ、正常に燃焼し、その後に傾けても大きな炎は発生しなかった。取扱説明書には、点火時に生ガスが出ないように「点火はカセットボンベが直立状態で行い、点火後2分間は動かさない。」旨、記載されていた。 |
2021年7月 | ネット通販で購入したガストーチを点火したところ、漏れたガスに引火 し、周辺を焼損した。 | 事故品は、カセットボンベとの接続部及び火力調整つまみの内部にあるOリングの寸法が小さかったためにガスが漏れ、漏れたガスに近くのガスこんろの炎が引火したものと考えられ、ガスシールに関する設計不良と推定される。 |
2022年2月 | ネット通販で購入したガストーチを 点火したところ、本体付近から出火し、周辺を焼損した。 | 事故品は、火力調整つまみ内部のOリングの設計に問題があったと考えられ、購入後7ヵ月でOリングが劣化して密閉構造が維持できなくなり、火力調節つまみ接続部から漏れたガスに点火時のスパークが引火したものと推定される。 |
2023年5月 | ネット通販で購入したガストーチを点火したところ、本体付近から出火して周辺を焼損し、手に火傷を負っ た。 | 事故品は、火力調整つまみと連動したスピンドルに装着された2個のOリングの外径が器具栓の内径より小さく、Oリング部のシール性能が十分でなかったことから、使用時につまみ部分からガスが漏れ、点火時のスパークが引火したものと推定されるが、設計や品質管理に関する情報が入手できず、原因の特定はできなかった。 |
2020年(令和2)11月より日本ガス機器協会基準(JIA認証)を策定し、国内ガストーチメーカーは全社遵守しているものの、海外事業者が製造や販売を行う製品が急増する中、事故件数の抑制には至っていません。
このような状況から、2025(令和7)年2月6日より一般消費者向けのガストーチが液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)の「特定液化石油ガス器具等」に指定されることになりました。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)
今回、規制対象となるのは、ガスボンベに直接取り付けられる構造で、容器との接続部から火炎を出す位置までの距離が35cm以下で、接続部がねじ込み式でないガストーチです。
●ガスホースを取り付ける商品・工事用の製品・吸収材を封入した安全性の高いボンベやねじ込み式の接続のボンベは対象外
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センター『PSマガジン(製品安全情報メールマガジン)』
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センター『PSマガジン(製品安全情報メールマガジン)』
規制対象となるガストーチは、国に登録した検査機関による適合性検査をクリアした製品しか販売できなくなり、合格した製品には「PSLPGマーク」の表示が付されることになります。また、政令施行前に製造された製品を販売する期間として、施行日より1年間の経過措置期間が設定されています。