業界情報

保安だより

立入検査について

今回は、2023年度の経済産業省及び産業保安監督部立入検査の指摘事項と、2024年度の重点事項について解説します。保安確保に向け、今一度確認しましょう。

昨年度立入検査の結果について

2023年度の立入検査重点事項に基づき、主な指摘事項については以下のとおりです。

⦁ 保安業務に関わる委託業務の内容に関する事項

☞ 液化石油ガス法施行規則第28条に基づく保安業務委託契約書の記載不十分

以下の連絡方法について委託業務契約書等に定めているか確認しましょう

  • 保安業務を実施した結果を液化石油ガス販売事業者へ連絡する方法
  • 一般消費者等が変更した場合の連絡方法
  • 供給設備・消費設備についてLPガスによる災害が発生する恐れがある場合の連絡方法

⦁ 保安業務の実施状況に関する事項

☞ 保安業務用機器の校正の未実施

  • 機械式自記圧力計は6ヵ月に1回以上、電気式ダイヤフラム式自記圧力計は12ヵ月に1回以上校正を実施する必要があります。

☞ 未認定事業所における保安業務の実施

  • 保安業務を行う事業所が保安機関として認定を受けているか、認定書控え等の書類を確認しましょう。

⦁ 緊急時対応の体制に関する事項

☞ 保安業務資格者の配置に関する不備

☞ 緊急連絡先が不通

  • 一般消費者等の数に見合った業務主任者が適切に配置されているか、緊急連絡先として設定されている電話番号は現在も使われている電話番号か確認しましょう。

⦁ 販売の方法の基準の適合状況に関する事項

☞ 液石法第7条に規定されている標識の非掲示

  • 定められている内容が記載されている標識を掲示しているか確認を行いましょう。

液化石油ガス販売事業者は、販売所ごとに公衆の見やすい場所に規則で定める様式の標識を掲示しなければなりません。(法第7条)
標識は規則第8条で様式第4と定められています。

〈解釈〉標識の掲示は、販売事業の登録を受けた後に、その事業を開始する時までに掲げなければなりません。

出典:経済産業省 高圧ガス保安協会『LPガス販売事業の手引き』

令和6年4月1日より、「常時雇用する従業員の数が五人以下である場合」もしくは「自ら管理するウェブサイトを有していない場合」を除くすべての事業所でウェブ上の標識の掲示が必要です。

2024年度立入検査重点事項について

2024年度の立入検査重点事項は以下のとおりです。

⦁ 保安業務に関する事項

①保安業務に係る委託業務の内容
②保安業務の実施状況(業務主任者の職務の実施状況も含む
③緊急時対応の体制
④他工事対策等の周知状況
⑤燃焼器等の消費設備調査の実施状況

⦁ 販売事業に関する事項

⑥保安機関の連絡先の通知状況に関する確認
⑦LPガス販売事業者等が備える帳簿への記載状況
⑧貯蔵施設、供給設備等に係る基準適合義務等の遵守状況
⑨容器などの流出防止措置の対応状況
⑩販売の方法の基準の適合状況
⦁ 取引適正化(料金の提示の記録等)

2024年度は昨年度の内容に加え、2021年に公布・施行された「充てん容器等の流出防止措置」について、省令施行以前に設置された設備の対策実施猶予期間が2024年度6月1日までとされているため、⑨流出防止措置が追加されました。
近年の立入検査における指摘事項を鑑み、特に①保安業務に係る委託業務の内容、②保安業務の実施状況について詳細に確認するとしています。
また、商慣習の是正へ向け⑩販売の方法の基準の適合状況の項目が追加されており、消費者への料金の提示記録等が求められる可能性もあります。