業界情報

保安だより

CO中毒事故防止について

経済産業省HPにて、2023年度事故集計(速報)が掲載されました。 原因者別事故件数を見ると、「その他の事業者起因」「一般消費者起因」の事故が大きな割合を占めています。 その中でも、2019年以降発生していなかったCO中毒事故が5件発生し、合計で7名の負傷者が出ています。 夏場は空調の使用により、特にCO中毒事故発生のリスクが高まる時期です。今回は、改めてCO中毒事故の注意するポイントを解説します。

CO(一酸化炭素)の毒性について

COは無色・無味・無臭の気体です。
CO中毒は、不完全燃焼による発生したCOを含む空気を呼吸した場合に起こる中毒です。
酸素より200倍以上血液と結びつきやすいため、酸素が体に回らなくなることで中毒症状を引き起こします。

一般的な家庭用CO警報器は、50ppm超・250ppm以下で一段目警報を発出します。
業務用CO警報器では、血中COヘモグロビン濃度を推定し、20%の状態が10分続いた場合、または、2000ppmを2回検出した場合に警報を発出します。これは中毒症状が現れる濃度であり、業務用CO警報器が鳴動した場合は速やかに燃焼器の使用停止とガス会社への連絡を行っていただくよう周知しましょう。

CO中毒事故概要

2023年(令和5年)度に発生したCO中毒事故の原因は「換気不足」によるものです。
完全燃焼には「新鮮な空気(酸素)」が必要となりますので、ガス燃焼器を使用する時には十分な換気を行う事を周知徹底しましょう。

※なお、都市ガスでは病院の厨房にて食器洗浄機の故障による不完全燃焼が発生し、軽症9名の被害が発生しています。

CO中毒事故対策内容

相次ぐ厨房施設でのCO中毒事故を受け、経済産業省より注意喚起が発出されました。

  1. 換気の徹底
    特に、夏期・冬期の冷暖房を使用する際に、長時間室内を閉め切りにすることが想定されるため、換気が十分に行われているか確認し、換気し忘れを防止するための工夫を実践する。
  2. 異常点検の実施
    ガス消費設備の使用開始時及び使用終了時に異常の有無の点検をするほか、1日1回以上の点検を実施し、異常のあるときは、使用の中止や補修その他の危険を防止する措置を講ずる。
  3. 日常管理と災害時措置
    ・ガス消費設備は適切に使用し、設備作動状況の確認・ほこりや汚れの除去、フィルターの清掃等、換気不良や不完全燃焼を防ぐための日常管理を行う。
    ・自然災害発生後は点検を実施し、異常のあるときは、使用の中止や補修その他の危険を防止する措置を講ずる。
    ・停電中は、換気扇及び吸排気設備が作動しない場合があるので、やむを得ずガス消費設備を使用する場合は、窓を開けて換気する等の措置を講じ、復電後は換気扇及び吸排気設備が作動することを確実に確認する。
  4. フィルターの定期的な清掃または交換
    排気取入口に設置されるグリスフィルターや排気ダクト内に設置される脱臭フィルター等は十分な換気量を確保するため、定期な清掃又または交換を実施する。
  5. 業務用換気警報器の設置
    万が一の不完全燃焼に備えて、業務用換気警報器の設置を検討すること。
  6. 教育及び周知の実施
    ガスの消費設備及び換気設備の正しい使用方法及び換気の重要性について、調理に従事する従業員(パート・アルバイト等を含む。)への教育及び周知を実施すること。

周知文章や経済産業省で掲載している注意喚起文章を活用し、使用者に確実な周知を実施しましょう。

参考:経済産業省ホームページ