誠の相場観

2022年2月7日

誠の相場観vol.8

第8回 100㌦見たさの原油相場。90㌦は通過点!?

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  米WTI原油は90㌦を突破。現在92㌦。約7年4か月ぶりとのこと。

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需給ひっ迫、ウクライナ情勢懸念とどのニュースにも出ています。

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また原油が上昇することでインフレ懸念にも拍車が掛かっており、欧米中央銀行の利上げ観測により世界の株式市場も不安定な動きが継続しており、その逃避先として原油市場に投機資金が流入している様な恰好。

  一方で2/2のOPEC+会議では段階的増産(日量+40万バレル)継続を発表。

サプライズなく計画通りであるものの、足元供給不足懸念に対しては緩和効果の期待やまたOPEC+の合同専門委員会(JTC)も今期は供給過剰との見方を維持しており、現在の原油急伸はここ数か月の価格見通しの根拠となるコロナ禍からの実需回復および寒波襲来や電力不足からの他エネルギーからの代替シフト需要等の”供給不足懸念”ではなく、ウクライナや中東情勢緊迫化による具体的な軍事衝突や制裁による「供給”停止”リスク」を織り込んだ相場だと考察できる。

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  確かにウクライナだけでなく、中東ではUAE(アラブ首長国連邦)とイエメン武装勢力による情勢緊迫化、低在庫の北米への寒波襲来等で原油相場は急伸しているが、非常に注意が必要なのは供給リスクのみで急伸しているが、何ら具体的な”生産・供給障害”が出てないことである。

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足元は供給リスクのみで90㌦の壁をあっさりブレイクし、今まさに怖いもの見たさの100㌦までのカウントダウン入りの投機的な様相を呈している。

  中東・ウクライナ情勢緊迫化が継続する間はこの現状高値を維持するが、逆に投機資金流入やリスク思惑で急伸した相場だけに、情勢変化があればそのプレミアムは剥がれやすく、急伸した反動(急落)も大きいものとなる。

中東・ウクライナ情勢における緊張の後退や寒波の終了等、4月以降春先には供給過剰の実需給バランスは意識され、本当の原油価格の値位置が問われよう。

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  少し前の米国バイデン大統領による価格抑制策など今はどこ吹く風となっているが、消費国にとってエネルギー価格高騰は経済に非常に大きなマイナスインパクトとなる為、次第にその対応策について話題が持ち上げられよう。

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また米国では3月からの利上げ観測あり、インフレ対策・米ドル高により原油価格へもネガティブな状況となりやすい。

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  ただ需給をコントロールするOPEC+の協調減産制度がある限り下値(ボトム)は75㌦~上値は85㌦のレンジ内で収まることが、生産国・消費国双方にとって心地よいレンジとの推測の下、具体的な供給障害なき90㌦超えの相場は急落可能性が高まっており、注意しておきたい。

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 地政学的リスク要因は見通し不明ながら、少なくとも季節要因から寒波リスクプレミアムが剥がれ落ちるのは時間の問題である。

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  LPGは2月CPプロパン・ブタン共に775㌦と高値復活。

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原油上げ幅程回復しないのはAL熱量換算比が115%⇒105%と10%縮小し、バリューは低下。

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国際需給的には最大輸入国の中国が旧正月入りにて動意少ないものの、石化用のPDH(プロパン脱水素装置)向けでは競合となる原材料のナフサがLPG比で高値推移しており、石化向けLPG需要は活況。

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米国も低在庫且つ例年のごとくパナマ運河も濃霧の影響が出始めており、中東需給・CPはコジッカリの状況で、3月CP先物値は2月同水準の770㌦程度。

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  通年3月からCPも下落しやすいが、原油高も手伝い足元は高値移行する流れ。

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4月CP先物も730㌦と若干下げ程度であるが、上記の様に原油プレミアムが剥がれた場合は、CPも同様に急落リスクを秘めている状況下にあることは認識しておきたい。