誠の相場観

2022年1月17日

誠の相場観vol.7

第7回 くすぶっていた地政学的リスクの高まり

.

  新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

.

ということで年明け早々個人的にバタついていますが、原油市場も年末年始でバタついた状況で70㌦台水準から一気に80㌦をブレイク。

.

現在Brent価格で86.5㌦と急上昇しております。

.

気になるオミクロン株感染拡大の脅威は世界中の人々の足元にまで及ぶ中、マーケットはその影響が限定的との見方から楽観視。

.

一方歴史的低水準の原油在庫の米国及びカナダの北米エリアにも暖冬状況から一変、漸く寒波が襲来したこと、また地政学的リスクの台頭として①ロシア-ウクライナ問題、②リビアの供給障害、③OPEC加盟国のカザフスタンでの反政府デモによる産油影響への懸念等が織り込まれたことにより短期需給ひっ迫プレミアムが加算する形で期近の原油価格が急上昇した格好。

.

地政学的要因もありながら、現状の価格は季節的要因強く、本当の値位置は問われるのは春先以降の原油価格であろう。

 .

.

  別の視点ではコロナ禍経済対策として各国の金融緩和政策により大きく値上がりした株式市場、資源・コモディティの金融商品ですが、欧州の利上げ、また注目されている米国での早期利上げが取り沙汰される中、NYダウ、日経平均等の株式市場も不安定化しボラティリティの高い展開が継続。

.

その他利上げを意識された「ドル高」によりドル建て商品である各コモディティも割高感から売りが激しく軒並み下落傾向にある。

.

.

  そんなドル高環境の中でも、年末年始にかけ短期的需給ひっ迫要因により値上がりした原油(天然ガスも)は投資商品としては、株式や他のコモディティに対してはかなり「買い安心」の銘柄ともなり、他の商品からの逃避された投機資金の受け皿として役割を果たす中、足元のドル割高感・過大評価から売り圧力によるドル安転換の局面では、割安感から原油は一段高を試す形で足元86㌦水準まで値位置切上げ、90㌦台を伺う展開。

.

.

  オミクロン株の脅威・感染拡大は続く中、マーケットはその出口を見据えている。

.

一方約2年前からのコロナ発症を機にその対応が最優先にて、鎮まりくすぶり続けていた地政学的リスクが、コロナ禍の収束観測と共に次第に表面化してきているように感じる。

.

確かにこの3月に噂される米国利上げ観測(ドル高)や、足元の季節的要因がはく奪された後の春先以降の原油価格への弱気観測もあるが、ウクライナ情勢に見る米国-ロシア、また米中摩擦や中東情勢などの地政学的リスクが台頭し、そのプレミアムが新たに加算されれば、更なる原油一段高もあり得る、より意識される状況となろう。

.

抑々原油市場に対しては、脱炭素潮流からの「投資不足・凍結による新規開発・生産不足」が認識される中、OPEC+協調減産に見る「需要に応じた供給管理」機能が継続する限り、また新たなコロナ株の出現等による「大幅な需要減速懸念」が台頭しない限りは、75㌦水準をボトムに値位置を切り上げていく展開。

.

.

  足元は年末年始にかけ急上昇した反動や需要期終了の春先相場を意識することによる下落局面もあろうが調整程度で下値は限定的とみる。

.

原油回復によりCPも回復。プロパンで1月740㌦、2月先物値で現在750㌦、3月先物730㌦と安定的。

.

CP相場はアラビアンライト(AL)熱量換算比で110%弱と原油比高いバリューが継続。

.

ただこれから春先の需要期終了に向けよりAL熱量換算比は寧ろ低下することを想定し、CP変動は原油変動イコールか若干弱い動きと想定しておきたい。