エリア情報

地道な努力を重視する企業文化のもと、顧客志向の基本方針を貫く強さを増す

府内プロパン株式会社
専務取締役

石川 誠也

(Seiya Ishikawa)

お客様との良好な関係を支える経験豊富な社員たち

府内プロパンは、エコア連合会・大分エコア会の会員販売店で、商圏は会社のある大分県大分市が中心。多くの販売店がそうであるように、府内プロパンも新卒採用を毎年行っているわけではなく、社員の大半は中途採用だという。住宅メーカーやガス機器メーカーなど関連の業界での経験を活かして入社する方のほか、材木屋や造船所で働いていた方もいる。実際に“若手”といわれる社員は多くないが、多様な社会経験を持つ社員がいることが、一つの強みとなっているようだ。

石川誠也専務取締役は、「社員自慢になってしまいますけど、うちのスタッフはみんな人柄が良くて、頑張ってくれる人ばかり。お客様を担当する営業スタッフは、5年、10年と長年活躍している人が多く、お客様とは昔からの顔なじみになっているので、お客様から声がかかりやすい環境づくりができている、ということは強みになっているかもしれませんね」と話す。

また、社員一人ひとりがお客様に対して丁寧な対応を徹底していることも強みであり、府内プロパンの社風となって根付いている。
「ノルマを達成するための無理な営業をせず、お客様との長期的な関係を作り上げていくことを重視していること。これは、創業者である会長の時代からの伝統といえると思います。例えば、チラシがあれば集金や検針で忙しい時でもポスティングだけで済ませずに、直接手渡しをして、お声がけするように意識してやってもらっています。チラシでどんなに宣伝をしても、結局お客様と話をしないことにはその先に進みづらいですから。こうしてみんなが日々コツコツと努力をして、その積み重ねを大切にしてきた、というところも大きいのではないでしょうか」。

多面的な評価で成長を促す「F-1キャンペーン」の取組み

府内プロパンといえば、全国キャンペーンの「King of Three(旧:ドリームマッチキャンペーン)」でも、エコア主催のオリジナルキャンペーン「E-1 グランプリ」でも、毎回高い販売実績を挙げ、上位入賞の常連として知られている販売店の一つだ。
これらのキャンペーンに加え、府内プロパンでは会社として営業力を鍛える取組みとして、8年前から社名の頭文字を取った独自の「F-1キャンペーン」を毎年実施。「E-1グランプリ」を基に設計し、これに社内で注力する項目を組み入れている。特色は、営業・保安・売掛けの3本柱を据えて総合評価するものであること。売り上げや販売台数といった営業成績がものをいう内容ではないのだ。
実は、石川専務はエコアの直売部での業務経験があり、この3本柱はエコアの直売が掲げているもの。家業を継いだ際に、社員の業務意識、会社の業績を向上させるための一環として始め、エコアでたたき込まれた3本柱を自社の営業戦略の一つとして上手く落とし込んだという恰好である。
「いくら営業力があっても、売りっぱなしで料金をもらっていない状態であれば、うちでは評価しません。保安業務や売掛けなど、営業成績以外の見えない部分でもコツコツと頑張っている人が損をしないために『3本柱』での総合評価を重視しているのです」と石川専務。
「毎年やってきて、実際に一人ひとりが単なる売り上げや台数では計れない“数字”に対しても意識を持って動いてくれるようになったと感じています。例えば、キャンペーン実施以前は目標100%に対して、10~20%の達成率だった人が、今では60~70%まで伸ばせるようになったとか。営業の部分だけじゃなく、売り掛けとか保安といった部分でも、数値化することで、手ごたえを感じられるようになってきているのかなと思います」。
社員に対して常に“数字”を意識させる独自の取り組みが、全国屈指の営業成績を支える原動力になっているのだろう。

府内プロパンの社長室には、毎年のキャンペーンで授与された受賞記念の品が並ぶ

厳しい環境だからこそ地道な積み重ねを大切に

社内独自の取組みが功を奏し、着実に成長を続けていることで、エコアからの信頼も厚い府内プロパン。継続的に注力してきた燃転も高い実績を挙げているが、エコアの燃転助成金の制度によるところも大きいという。

「以前に買収した販売店さんが灯油ボイラー、薪の風呂釜を使っているお客様が多かったんです。そんな中で、燃転を伸ばすきっかけになったのが、エコアさんの燃転助成金。エコアさんに申請書を出せば良いので、手続きの煩雑さもありませんし、金額も小さくないので対象のお客様には得値の燃転専用チラシを作って、担当者がしっかり営業活動をすることができました」。

そのことで、今では社内で「もう燃転の営業先がない」というような話も出るのだという。それでも、「どうしても売り先が減ってくるのは、私も経験上よく分かっていることです。燃転先でもそうでない先でも10年前に器具を買い替えた、買ってくれたお客様なら買い替え時も来ますし、燃転に限らずとも、器具販売などで頑張りどころはあります。既存のお客様と良好な関係作りができていれば、継続してこれからもやっていけると思っています」と石川専務。

府内プロパンでは、独自で商品展示会を定期的に開催するなどして多くの顧客を取り込んできたが、ここ数年はコロナ禍で実施が難しくなったという。そのような逆境でも、必ずタイミングがめぐってくる法定点検と合わせて、営業担当者がお客様を訪ねて器具の交換需要の獲得に努めるなど、地道に売上を積み重ね、関係強化を図ってきた。

将来の展望について尋ねると、石川専務は力強く語ってくれた。「これからガスを使う顧客は減少するでしょうし、保安やコンプライアンスなどの面でも厳しさは増していくと思います。それでも、LPガスの需要がなくなることはないと考えています。だから、今もこれからもやるべきこととして、既存のお客様を大切にし、より良好な関係を築けるよう努めていく、という基本方針に変わりありません」。

エコア連合会会長を務める石川博文社長と一緒に

【会社概要】

府内プロパン株式会社
所在地/大分県大分市向原東2-9-20